相続人不在の場合の手続きの流れはどうなる?
相続人がいない場合、被相続人の財産はどうなるのでしょうか?
こうした状況は「相続人不存在」と呼ばれ、特別な手続きが必要です。
この記事では、相続人がいない場合の財産の処理手続きについて、わかりやすく解説します。
相続人不存在とは?
相続人不存在とは、被相続人が死亡した際に、法定相続人が一人もいない状態を指します。
身寄りのない高齢者が亡くなった場合などが典型的な例です。
このような場合、被相続人の財産は国庫に帰属することになりますが、その前にいくつかの手続きを経る必要があります。
相続人不在の場合の手続きの流れ
相続人がいない場合、以下の手続きが必要です。
①相続財産管理人の選任
家庭裁判所に申し立てを行い、相続財産管理人を選任します。
相続財産管理人が遺産の管理や処分を行います。
この役割は、弁護士や司法書士などの専門家が担うことが多いです。
②相続人捜索の公告
相続財産管理人は相続人の捜索を行い、公告を通じて相続人がいるか確認します。
公告期間は6か月以上です。
③債権申出の公告
被相続人の債権者がいる場合、債権申出の公告を行います。
期間は2か月以上で、申出があった場合には債務を弁済します。
④相続人不在の確定
公告期間が満了し、相続人が現れなかった場合、相続人不在が確定します。
⑤特別縁故者への財産分与
相続人がいない場合でも、被相続人と特別な関係にあった人々(特別縁故者)がいる場合、その人々が財産を受け取ることができる可能性があります。
特別縁故者がいる場合、財産分与の申立てを行います。
家庭裁判所が審査し、財産の分与が決定されます。
特別縁故者の例
・長年同居していた友人(被相続人と生計を同じくしていた者)
・事実婚のパートナー
・被相続人の世話をしていた者(被相続人の療養看護に努めた者)
・その他被相続人と特別の縁故があった者
⑥国庫帰属
公示催告期間が終了し、相続権を主張する者がいない場合、相続財産管理人は残った財産を国庫に引き渡します。
相続財産管理人の報酬を除いた残余財産が国庫に帰属することになります。
まとめ
相続人がいない場合の手続きは、通常の相続よりも複雑で時間がかかります。
しかし、相続財産管理人の選任や公示催告手続きを通じて、債権者や特別縁故者の権利が保護される仕組みが整っています。
相続人がいないと予想される場合や特別縁故者がいる場合は、早めに専門家に相談することが重要です。
これにより、財産が適切に管理され、無用なトラブルを避けることができます。
相続の問題は専門的で複雑ですが、正しい知識と適切な手続きを踏むことで、スムーズに解決することが可能です。