家族信託の活用で安心の老後を迎えよう

近年、高齢化社会の進展に伴い、認知症などで判断能力が低下した場合に備えた財産管理の方法として、家族信託が注目されています。

家族信託とは、信頼できる家族に自分の財産を託し、管理・運用を任せる仕組みです。

家族信託のメリットは以下の通りです。

家族信託のメリット

自分の意思を反映できる

家族信託は、委託者である本人の意思に基づいて設定されます。信託契約書に、財産の管理・運用方法や受益者の指定などを詳細に記載することで、本人の意思を尊重した財産管理が可能です。

家族への負担が軽減される

家族信託では、信託財産の管理・運用を受託者に任せることで、家族の負担が軽減されます。

特に、認知症などで判断能力が低下した場合でも、受託者が本人に代わって財産を管理するため、スムーズな資産運用が期待できます。

プライバシーの保護

家族信託は、信託契約書などの関連書類を公開する必要がないため、プライバシーが保護されます。

対して、成年後見制度では、申立書などの書類が公開されるため、プライバシーの面で不安を感じる方もいるでしょう。

柔軟性が高い

家族信託は、信託契約書の内容を自由に決められるため、柔軟性が高いのが特徴です。例えば、不動産の管理・運用方法や、受益者への資産分配の時期・方法などを細かく設定できます。

成年後見制度との違い

一方、成年後見制度は、家庭裁判所が選任した成年後見人が本人の財産を管理・保護する制度です。

成年後見制度は法的な手続きが必要で、信頼できる家族がいない場合や、本人の判断能力が著しく低下した場合に適しています。

ただし、手続きの複雑さや柔軟性を欠く点、費用面での負担が大きいことがデメリットです。

被後見人の持つ財産の処分を行うためには、財産管理人や家庭裁判所の許可が必要になります。

例えば、「不動産の現金化のために自宅を売却したい」という希望があったとしても、裁判所が許可をしてくれない可能性があります。

また、家庭裁判所の許可にはある程度の時間がかかります。

成年後見制度は、一度開始すると本人の死亡など特別な事情がない限り、終了することはありません。

成年後見人には、本人の財産状況を定期的に家庭裁判所に報告する義務があります。

また、弁護士や司法書士などの専門家が成年後見人に選任された場合は、その報酬も継続的に発生します。

このように、成年後見制度は長期的な視点で利用することが求められ、手続きの複雑さや費用面での負担が大きいことがデメリットとして挙げられます。

一方、家族信託は、信託契約の内容に応じて柔軟に設定でき、費用面でもメリットがあると言えるでしょう。

家族信託の利用を検討すべき方

以下のような方は、家族信託の活用を検討すると良いでしょう。

認知症の心配がある方

認知症により判断能力が低下する前に、家族信託を設定しておくことで、安心して老後を過ごせます。

子どもや孫に資産を円滑に承継したい方

家族信託を利用して、資産の承継時期や方法を設定しておけば、スムーズに資産を引き継ぐことができます。

不動産の管理・運用を任せたい方

不動産を家族信託の信託財産とすることで、管理・運用を受託者に任せられます。

事業承継を検討している方

家族信託を活用して、事業用資産を後継者に円滑に引き継ぐことが可能です。

事業承継についてはオーナー個人だけでなく、法人の資産についても検討が必要で求められる知識も複雑です。

経験豊富な専門家に早めにご相談することをお勧めします。

家族信託は、高齢者の財産管理や資産承継の有効な手段ですが、信頼できる家族がいることが前提です。

また、信託契約書の作成には専門的な知識が必要なため、弁護士や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

家族信託を上手に活用し、安心で充実したシニアライフを迎えましょう。